「瓢箪沼とあの無名沼は、昔はつながっていたんじゃないですか? つながると、ちょうどヒョウタンの形になりますよ」
「あっ、そうだ! そうにちがいない。それが、くびれた部分が湿原化しちゃったんで、分離したんだ!」
よく見ると、二つの沼の間の湿原には潅木がなく、柳葉色のアシがいちめんに生えているだけだった。つまりそこは、まわりよりも格段に若い湿原なのだ。そしてこのことは前記の考えの強力な裏づけとなる!
もうひとつのさらに強力な裏づけが、あとでみつかった。すなわち、大正年代に測量された古い地形図では、たしかに二つの沼はつながっていて、正真正銘瓢箪沼になっていたのだ!
さて瓢箪沼は、浅茅野台地の中に深く入り込んだ谷の中──谷を埋める湿原の中にある(そのため接近が困難で、台地の上から眺めるだけにせざるを得なくなったのだ)のだが、実はこの同じ谷の中にもう一つ、第二沼という沼がある。
第二沼は、私たちが瓢箪沼を眺め下ろしていた地点(墓地の一〇〇メートル西)と瓢箪沼とを結ぶ線の延長上にある。が、実は二つの沼の間に南から台地の岬が延び出てきているため、そのほんの一部──さきの無名沼よりまたはるかに小さな銀白の一片──が、ようやく見えるにすぎなかった。
しかし、ともかくもこれで二つ(瓢箪沼と無名沼を合わせて一つの瓢箪沼、と考えて)の沼を見た、ということで一応満足して、先のサイクリングロードを引返していった。
参加者 真尾、富田、堀 (いずれもコンターサークルs)
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